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雑記やら拍手お返事やらSSやらを好き勝手に書いています。
2025/05
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サイトに「世界と彼女と生存理由」をUPしました。
私なりに考えた運命後アスカガのひとつの幸せの形を書いた話です。
最近、私はメリバが好きなんだなぁと改めて感じています。
第三者から見たら不幸かもしれないけれども、当人たちは幸せだと思っている。解釈によってはハッピーエンドに見えなくもない、そんな話が大好きでして…。
私の書く話を読んで下さる方々にも、時々そう思って頂けたら幸せだなぁと思います。
根はハピエン厨なんですけどね。自分で書くなら暗い話のほうが好きなんです。
このサイトに通って下さる方々は薄々感づいているかもしれませんが笑
これからもシリアス7割ハピエン3割くらいの間隔で書いていきたいなぁ。
「世界と彼女と~」は私の中ではハピエンなので、またしばらく暗い話が続くと思います。
 
続きに、先日TwitterにUPしたSSを載せておきます。
死にたがり屋のカガリの話。運命後のアスカガ+シンです。
ただただ暗いのでご注意を。シンがカガリの命を狙っています。
私はTwitterアカウントをふたつにわけてまして、ひとつはオールジャンル用(ガンダム・Fate中心)、もうひとつはアスカガ語り専用の鍵つきアカウントなのですが、後者限定でUPしているSSはたいがい薄暗かったり救いがなかったりします。
何でもおいしくいただけるよ!という方は続きからどうぞ。

拍手[6回]



 
  銃を握る手はふるえていた。
  しかしその銃口は正確に相手の眉間をとらえている。
 カガリは自分に銃を向ける少年を場にそぐわぬ冷静さをもって見返した。
「あんたが悪いんだ・・・・・・あんたが」
 少年──シン・アスカは銃を握ったままカガリを睨む。
 彼の瞳は血を固めて流し込んだかのように赤い色をしていた。果たして彼の瞳に注がれた血は彼自身のものだろうか。彼の家族のものだろうか。それとも、彼が撃った多くの者の血の色だろうか。
「アスハがいなけりゃおれの家族は死ななかった。マユはあんなにひどい死に方をしなくてすんだはずだ。あんたはおれから全てを奪った。国も、家族も、全部」
 シンが失ったのは祖国と家族だけではない。二度の大戦を経て彼はあまりにも失いすぎた。家族を喪い、守りたかった少女を喪い、共に戦い続けた友を喪った。オーブと戦い敗北したことで、彼はついに戦う意義と誇りすら失ってしまった。
「ハイネもヨウランもレイもあんたのせいで死んだんだ。全部ぜんぶあんたがおれから奪うんだ──アスランも」
 シンがぎり、と音をたてて奥歯をかみしめる。
 憎悪にまみれたその顔を見るだけで、彼がどれほどアスランを慕っていたのかカガリには理解できた。反発し続けてはいたが、その裏では誰よりも尊敬していたのだろう。
 だからこそ、アスランを奪ったカガリをシンは許さない。
「そうだな。おまえには私を撃つ資格がある」
「何を・・・・・・」
「悪いが、私は生きている限り今の生き方を変えることはできない。先の戦争でのことも後悔はしていない」
「──っ、驕るなよ、虐殺者が! あんたのせいで、どれだけの人が死んだと思ってるんだ! オーブ国民だけじゃない、あんたのせいで、あんたが逃がしたジブリールのせいでプラントの人だってたくさん死んだんだ! その後の戦いでも、たくさん!」
「ああ、知っているよ」
 それらはカガリの罪だ。戦後どれだけ平和のために身を尽くそうと、戦時中に彼女が犯した罪は消えない。シンが身内を奪われた悲しみを、憎しみをいつまでも消せないように。
 いくら糾弾しようと落ち着いた様子で否定もしないカガリにシンはいらだちを募らせ、叫んだ。
「あんたなんか・・・・・・あんたなんかぁーッ!」
 銃声が鳴る。カガリの体に衝撃が走る。
 しかし彼女は撃たれていなかった。すんでのところで駆けつけたアスランが、彼女を押し倒し銃弾からかばったのだ。
「無事かカガリ!? ──シン、おまえっ!」
 すばやく起きあがったアスランが険しい顔で懐の銃に手を伸ばす。シンに完全なる殺意を向けた彼を、カガリはとっさに止めていた。
「待て、アスラン」
「カガリ!? 何故っ」
「いいから。落ち着け」
 カガリがアスランを押さえたままシンを見ると、シンは銃を構えたまま呆然としていた。その顔はどこか怯えた子供じみていて、信じられないものを前にしたように目を見開きアスランを凝視している。
 無理もないだろう。彼がアスランに本気の憎しみを向けられたのは初めてなのだから。
 カガリは彼を哀れに思った。自分を殺そうとした姿を見られた以上、アスランは二度とシンを許さないだろう。
「あ、アスラン・・・・・・おれ・・・・・・っ」
 シンはふるえたまま首を横に振り、背を翻して去っていった。
 アスランはその背を睨みつけたまま、今にも走り出して追いかけそうな様子だった。銃を持った彼の腕をつかみ、カガリはシンの姿が見えなくなるのを待つ。
 するとアスランは高ぶった感情を次にカガリに向けた。
「──何故だ。どうしてこんな馬鹿なことを!?」
 シンがカガリの命を狙っていることをアスランも知っていた。だからこそ彼はカガリのそばから離れず護衛をしていたというのに、カガリはそれを知った上でアスランを引き離し、シンのところへ行った。撃たれることを覚悟した上で。
「シンには私を撃つ資格があるからだ」
「そんなもの──」
 カガリの肩をつかみ怒鳴ろうとしたアスランはしかし、彼女の顔を見て絶句した。
 先程まで異様なまでに冷静でいたカガリは今、どうしようもなく泣きそうな顔をしていた。顔をゆがめ、唇をかみしめたままアスランを見つめている。
「シンが私を殺すならそれでもいいと思ったんだ。シンが言ったとおり、私は人殺しだ。私の判断でたくさん人が死んだ。彼らが私を恨んでいないはずがない。シンは私の被害者のうちのひとりなんだ。私を殺すことで、あいつが救われるなら──」
 カガリの言葉はそこで途切れた。耐えかねたアスランが彼女を抱きしめたからだ。
「もういい。もういい、カガリ・・・・・・」
 アスランは痛ましげに顔を歪め、カガリを閉じこめた腕の力を強くする。そうするほかなかった。
 彼はカガリに何も言うことができない。軍人として多くの命を奪ってきた身として、彼女の言い分が誰より理解できたから。
 この身は血で汚れている。いくつもの罪を背負っている。誰に否定されようとも、その事実は、過去は変えられない。それらがいつかなくなるとしたら、それは死ぬときだけだ。だから彼らにとって死は唯一の救いであり、永遠の罰だった。
 ──それを与える者が、かつて自分が殺した者の身内であったならばなおのこと。
 きっとアスランもシンに憎しみをもって銃を向けられたなら、避けることなどできないだろう。甘んじてその死を受け入れたはずだ。
 それでも。
 それでも、カガリを殺させるわけにはいかなかった。
 他でもなくアスラン自身のために。
「・・・・・・また死ねなかったな。私はいつまで憎まれ続けたらいいんだ」
 カガリがアスランの腕の中でぽつりと呟く。アスランはその言葉を打ち消すように、これ以上何も言わせないように、彼女の頭を自分の胸に強く押しつけた。
 カガリが死を望むというならば、アスランは全力でそれを否定する。たとえそれを彼女が望まなかったとしても。
「カガリ・・・・・・頼むから」
 ──生きてくれ。
 かつてカガリが自分にくれた言葉を、彼は口にできなかった。
 
 
***
 
こういう運命後の展開もありかなと思っているのですが、皆さんはどうでしょうか。
エンジェルダウン作戦の際に自分をザフトに差し出してクルーを救ってくれと言ったり、オペレーションフューリーでは国と共にこの身も滅んだ方がマシだと叫んだり、実はカガリも自己犠牲を厭わない子だと思っています。アスカガは似た者同士!
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プロフィール
管理人:柳瀬
居住地:関西
最近カラオケで種のPVを見たことをきっかけに10年ぶりにうっかりアスカガが再燃した出戻り野郎。

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