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雑記やら拍手お返事やらSSやらを好き勝手に書いています。
2025/05
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※ハッピーエンドではありません。苦手な方はご注意を。
 
衝動的に書いたもの。
カガリを救うため、タイムリープを繰り返すアスランの話。
「シュタインズ・ゲート」というアニメの設定をお借りしています。
元ネタを知らなくても読めると思います。嫌な予感がした方は回れ右!
救いがない話でもおいしくいただけるという方は続きからどうぞ。
(申し訳ありませんが2,3は一旦非公開とさせて頂きます。いつかまた掲載します)

拍手[7回]



 
 俺たちは好奇心で研究していただけだった。
 たまたまうちの電子レンジが誤作動を起こして、たまたま俺が機械いじりが好きな大学生で、たまたま親友のキラが腕利きのプログラマーでありハッカーで、たまたま天才少女のラクスの協力を仰ぐことができただけ。
 そんないくつもの偶然が重なって、俺たちはそれを完成させた。完成させてしまった。
 本物のタイムマシンを。
 別に世界を変えようとか思っていたわけじゃない。
 ただ、偶然それらしいものができてしまったから、好奇心に突き動かされて研究してしまっただけ。
 他国の有名研究所の秘密を暴こうとか、世界をひっくり返そうとか考えていたわけじゃなかった。
 それなのにこんな結末になってしまったのは。
 いけないとわかっていながらも、軽率に有名研究所のサーバーにハッキングしてしまったから。タイムマシンを作りたいと思ってしまったから。実験と称して何度もなんども過去にメールを送り、身近な人の過去を書き換えてしまったから。
 そう。全ては俺のせいなんだ。
 なのに、なのにどうして……どうして。
 カガリ。君がこんなことにならなきゃいけないんだ。
 
 
 その日、俺たちは遂にタイムリープマシンを完成させた。
 しかしそれまでに試作のタイムマシンで何度も過去にメールを送ってわずかながらも過去を改変してしまっていたので、俺はもうそのタイムリープマシンを使うつもりはなかった。仲間たちもその意見に賛同した。
 大都会アプリリウスをなくしてしまったり、知り合いの性別を変えてしまったり、宝くじを当てようとしたり。そんなことはいけないとようやく気づいたから。
 だから終わりにしようと、実験をやめようと決めて。ただマシンの完成と実験の終わりを記念して夜にパーティーをするつもりだった。
 そのために仲間を、キラとラクスとカガリを俺の部屋に集めただけだったのに。
「動くな」
 突然に部屋に押し入ってきた覆面の集団は俺たちに銃を向けた。
 奴らの先頭に立っている女――フレイ・アルスターはキラが最近仲良くなったという、俺のよく知らない女だった。ただ俺たちの部屋にたまにやってきては実験に介入してきただけの人物。そいつが今黒づくめのボディスーツを着て、俺たちに銃を向けていた。俺たちはただ手を挙げてじっとしているしかなかった。
「アスラン・ザラ、キラ・ヤマト、ラクス・クライン。私たちと一緒に来てもらうわ」
 フレイが冷たい声で俺たちの名前を呼ぶ。俺とキラとラクス、勇んでタイムマシンを作っていた仲間たち。呼ばれた中にこの場にいるひとりが欠けていることに、俺はとてつもなく嫌な予感がした。
 頭の中で警鐘がなって、俺の発した声は震える。
「……カガリは、どうなる」
 隣から息を呑む気配がした。
 カガリ。俺の幼馴染みの少女。この場にいる俺たちの仲間で、唯一タイムマシンに関心を示さなかった奴。それでも俺たちの実験を見守ってくれていた。
 俺のほうを向いていたフレイの銃が、わずかに照準をずらす。――俺の横に向けられたその先にいるのは。
「カガリ・ユラ・アスハは、必要ない」
 フレイの言葉とともに、俺の頭に最悪の未来がよぎる。隣のカガリが怯えた表情で俺のほうを見る。
 ――やめろ。やめてくれ。
「やめろッ!!」
 俺の叫びにかぶせるようにして銃声が鳴った。俺の視界の端でカガリの体がぐらりと揺らいだ。そのまま声も出さずに床に倒れたカガリを、俺はおそるおそる振り返った。
「カガリ」
 床に膝をつきゆっくり抱き上げたカガリの体はまだ暖かかった。でも、彼女の顔、金の髪の間から首にかけて赤い筋が通っていて、それが血だと理解するまでに俺は数秒を要する。頬撫でても彼女はぴくりとも動かない。
「……カガ、リ」
 名前を呼んでも返事はなく、見開かれたカガリの目はうつろに宙を見たまま光を失っている。俺が呼ぶといつもすぐに返事をしてくれる快活な少女が、そこにはいなかった。
 脳を撃ち抜かれ、カガリは絶命していた。
 なんで。
 なんでカガリが、こんな。
 昼まで俺の部屋で元気に動き回っていたカガリが。今夜のパーティーが楽しみだなと俺の隣で笑っていた彼女が。
 俺の、大事な――。
「離れて。両手をあげて動かないで」
 いつの間にか俺の後ろにフレイが立っていて、俺に銃口を向けていた。でもそんなことはどうでも良くて、俺はただカガリの体を抱きしめた。いつもあんなに元気に鍛えているはずの体はとても細くて、俺の腕に簡単に収まってしまった。
 背中に硬いものが押し付けられる。同時にキラが悲鳴のような声を上げた。
「アスラン! だめだよ、離れて! 君まで殺される!」
 殺される? 俺が?
 ――カガリのように?
 そう思った途端、俺は弾かれたように走り出していた。背後で怒声が聞こえたけど無視した。
 部屋の奥にある電子レンジに飛びつく。繋がったヘッドホンを装着して携帯を操作する。いままで何度もやったように適当に時間を合わせて――。
「アスラン、いけません! それを使えばあなたは――」
 ラクスの叫びに重なるように銃声がした。視界の端で桃色が赤い飛沫と共に倒れるのが見えて、彼女も撃たれたのだと知った。
 それでも俺は夢中になって目の前のパソコンと携帯を――俺たちの作ったタイムマシンを操作した。
 昼間完成したばかりのタイムリープマシンはまだ一度も試してはいない。成功するかどうかもわからない。もし失敗すれば――。
"Human is dead."
 ハッキングした研究所の情報に書いてあった言葉が浮かぶけれど、構わなかった。俺は叫びながらマシンを起動させた。
 
 カガリ。
 君にもう一度会うために、俺は――。
 
 
***
 
身内に元ネタを一気見させられ、あの絶望感にハマってしまいました……。
続きも書いてたんですが、あまりにも救いがないので一旦非公開とさせていただきます。
Twitterでシュタゲパロ考えてるときに反応下さった朱里さんに感謝!
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プロフィール
管理人:柳瀬
居住地:関西
最近カラオケで種のPVを見たことをきっかけに10年ぶりにうっかりアスカガが再燃した出戻り野郎。

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