雑記やら拍手お返事やらSSやらを好き勝手に書いています。
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種終盤、三隻同盟時代のディアミリです。
ふと浮かんだので挑戦してみました。何故かアスランも出張ってます。
ディアミリというかディア→ミリ未満ですが……。
なんでもOK!という方は続きからどうぞ。
ふと浮かんだので挑戦してみました。何故かアスランも出張ってます。
ディアミリというかディア→ミリ未満ですが……。
なんでもOK!という方は続きからどうぞ。
〝バスター〟の整備を終えた後、夕食にしようと食堂に足を運んだディアッカは、中にいた集団を見てぎょっとした。
ちらほらと人影のある広々とした食堂の片隅に、若い集団が三人組が座っている。〝アークエンジェル〟のクルーであるサイ・アーガイルとミリアリア・ハウ、――そして自分と同じくザフトを離脱したアスラン・ザラだ。
奇妙な組み合わせの三人が、テーブルに向き合って座り、なにやら談笑していた。
「――へえ、じゃあ君はキラとは幼馴染なのか」
「ああ。幼年学校が同じで……」
サイが気さくにアスランに話しかけ、アスランもぎこちないながらも笑みを浮かべてそれに応える。サイの横に座ったミリアリアは、そのやりとりを黙って見ていた。
思わずディアッカはミリアリアの顔色をうかがってしまうが、彼女は無表情とも微笑んでいるともいえない顔をしていた。だが、彼の気のせいでなければ、その顔はすこしこわばっているように見える。
何故か自分のことのように冷や冷やとしながら様子を見ていると、不意に後ろから話しかけられた。
「あれ、ディアッカさんもご飯ですか?」
「あ? ああ、うん……」
食堂の入り口で立ちすくんでいたディアッカの後ろに、いつの間にかキラ・ヤマトがやってきていた。その横には、オーブの姫だという金髪の少女もいる。
彼女――確かカガリという名だったか――はその場から動こうとしないディアッカを不思議そうに一瞥したあと、食堂を覗き込み、ぱっと顔を明るくして中に飛び込んだ。
「アスラン! 〝アークエンジェル〟に来てたのか」
「カガリ」
カガリは飼い主を見つけた犬のような勢いで、アスラン――なお、彼は今モルゲンレーテのジャケットを着ており、不本意ながらディアッカとお揃いである――に向かい、アスランもまんざらではなさそうな様子で彼女を迎えた。
「もーカガリったら、すっかりアスランに懐いちゃって」
まだ入り口にいたキラはそれを見て苦笑したあと、ディアッカのほうを向いた。
「ディアッカさんも一緒にご飯食べますか?」
「あ、いや、俺は……」
なんとなくその集団に入るのがためらわれて、しどろもどろな返答になってしまうが、キラは構わずに食堂へ入っていった。アスランたちの座る席までまっすぐ向かい、話し始める。
「アスラン、カガリに〝ルージュ〟のOS説明してやってよ」
「そのOSなら俺よりおまえのほうが詳しいだろう。同じ〝ストライク〟なんだから」
「でも、教えるのはアスランのほうが得意でしょ? ぼく、なんとなくでやっちゃうからうまく説明できなくて」
「そうだぞ! キラに聞いても、そこは適当にとか、ここは気にしなくていいよとか、そんなのばっかで全然ためにならないんだ」
「キラ、おまえな……」
「だからアスランが教えたほうがいいんじゃないって言ってるんだよ」
ディアッカがぼんやりしてるうちにも、先の集団にキラとカガリが加わったせいで、食堂はやけに騒がしくなる。同じく食事をとっていたクルーたちも、若者たちのはしゃぎようを微笑ましく見守っているようだった。
一方で、ディアッカがじっと見てる先――同じテーブルについているミリアリアの表情はあまり変わらなかった。彼女はアスランやカガリのやりとりをしばし見つめたあと、隣のサイに何かを耳打ちして、席を立つ。
食堂を出ようとしたミリアリアが、いまだに入り口に立っていたディアッカを見て、いぶかしげな表情で立ち止まった。
「……何、ぼーっとしてるの?」
「いや……飯食おうと思ってさ……」
彼女はぎこちなく答えるディアッカを怪訝そうに見たが、やがてふいと目を逸らし、横をすり抜けていく。
「じゃあ、私が座ってた場所使ったら」
相変わらずそっけない態度でそう言って去ろうとするミリアリアの背を、ディアッカは咄嗟に追いかけていた。やはり、彼女の表情がどこか翳っている気がしたから。
「お、おい、待てって!」
ディアッカの呼び声にも構わず彼女は通路を進んだが、食堂を出て少し離れたところで、ようやく足を止めてくれた。
「……何よ」
振り向かずに答えたミリアリアの声は低く、機嫌が良くないことをありありと表している。その様子にディアッカはすこしためらってから、おそるおそる口を開いた。
「……その、なんつーかさ、大丈夫かよ?」
「……」
彼女は何も言わず、背を向けたままだった。それが答えのような気がした。
大丈夫なはずがない――とディアッカは思う。だって、さっきまでミリアリアが一緒にいたのは、彼女の恋人を殺した男なのだから。
しかし、ディアッカの懸念に反して、彼女の答えは意外なものだった。
「――いい人ね、彼」
「……は?」
「悪い人じゃなかった。……キラが小さなころから友達でいたっていうのも、なんとなくわかるわ」
それは間違っても、自分の恋人を殺した相手にする評価ではなかった。
思わず言葉を失ったディアッカに、ミリアリアが少しいらだったような様子で、言葉をつづけた。
「あんたが前教えてくれたんじゃない……まじめで、やさしい人だって」
「……あ」
言われて、初めて思い出す。オーブが侵攻される前、トールを殺したのがアスランだという事実を知った彼女に、ディアッカは場違いななぐさめの言葉をかけたのだ。それをミリアリアは覚えていたらしい。
『あんた、キラの言ったこと聞いてなかったの!? ……あのひと殺すとトールが帰ってくるの!? 違うでしょ!』
あのとき、ミリアリアは泣きながらそう叫んだ。そして彼女はひとりで泣いたのだ。怒りを、憎しみを、仇であるはずのアスランに向けることなく――自分一人で向き合って。
今日もそう。食堂で居合わせたのは偶然かもしれないが、それでも彼女は、あえてアスランと同じテーブルにつくことを選んだ。隣にいたサイの計らいもあるだろうが、ミリアリアはアスランと話をしてもなお、彼に恨み言のひとつも言わず――嫌な顔をすることもなく、接しようとしたのだ。
その努力の結果として、きっとアスランは彼女の葛藤に気づかずにすんだことだろう。もしも気づいていたならば、同じ空間にいることすらできなかったはずだ。志を同じくする仲間の少ないこの小さな同盟のなか、些細な亀裂ですら時に致命的な問題を生む――彼女はそれを望まなかった。いや、そもそもミリアリアは、憎しみの連鎖そのものを自ら断とうとしているのだ。
ディアッカは改めて彼女の真摯な姿勢に衝撃を受けた。
「ちょっと……何か言ったらどうなの?」
言葉を無くしたディアッカに焦れてか、ミリアリアが勢いよく振り向く。
ディアッカを見据える彼女の目はわずかに赤く、潤んでいた。しかしそれでも、彼女は気丈な眼差しで彼をみていた。
――やっぱりこいつは、すごい。
反射的にそう思って、ディアッカは無意識のうちに小さく笑んでいた。
「そうだな――でも、俺ほどじゃねえなあ。あいつ、カタブツだし」
「……何言ってるの、ダントツであの人のほうがいい人よ。誠実そうだし、あんたみたいにちゃらちゃらしてないし」
軽口で言ったつもりが、真面目なトーンで切り捨てられて、ディアッカはすこし落胆する。
アスラン、おまえとはやっぱり分かり合えねーわ――そんな場違いなことを考えながら、それでもすこし元気になった様子のミリアリアを見て、彼は笑った。
「おまえ、やっぱり強いな」
「……それ、褒めてるつもり?」
ディアッカなりに最大の賛辞をしたつもりが、ミリアリアはふたたび一気に不機嫌そうな声になって、彼を睨んだ。ディアッカは慌てて顔の前で手を振り、弁解する。
「いや、すっげえ褒めてる。褒めてますって!」
「そんなの女の子への褒め言葉じゃないわよ。あと、おまえって言わないで!」
彼女はそう言い放つと、ぷいとそっぽを向いて行ってしまった。
ディアッカはまたミリアリアを怒らせてしまったのだが――それでも、彼女がさっきまでのこわばった表情ではなく、前と同じような自然な姿で接してくれたことに、確かな喜びを感じていた。
その喜びを噛みしめつつ、ディアッカは遠ざかる背中に叫ぶ。
「なあ、今度は一緒に飯食おうぜ!」
「はあ? なんで私があんたなんかと!」
ミリアリアはちょっと振り向いて悪態をつく。それですら、今のディアッカには嬉しかった。
「頼むって。俺、あいつらのガキみたいなやりとりについていける気がしねえんだ――なあ、ミリアリア!」
彼女ともっと話がしたい――そんな願いを込めて、ディアッカは叫ぶ。
ミリアリアは眉を寄せてディアッカを見たあと、また背を向けてしまう。しかし彼女は、彼に答えてくれた。
「……仕方ないわね、時間があったらね!」
それだけを言い残して、ミリアリアは去ってしまった。
残されたディアッカは、通路に立ちつくしたまま、彼女が去った方向を見つめる。
初めて名を呼んで咎められなかった――そう思うと、口にした彼女の名が、とても誇らしく尊いものに思えて仕方なかった。
明日の食事のときには、ブリッジに行ってミリアリアを誘ってみよう。そして一緒にご飯を食べれたら、アスランの悪評を吹き込んでやるのだ。きっと彼女は呆れるだろうが、それでもいい。素のままの彼女が見られるなら。彼女と話ができるなら。
そう考えて、ディアッカは一人通路に立ったまま、屈託のない笑みを浮かべていた。
***
PS2のSEEDゲームに「終わらない明日へ」という作品の中に、三隻同盟時のモルゲンレーテ服のアスランがサイとミリアリアと話す描きおろしムービーがあり、それを見て書きたくなった話でした。
食堂に入ってきたアスランをサイが招き寄せて、サイとミリアリアとアスランが握手をして談笑する……というムービーなのですが、はじめて見たとき笑顔でアスランに接するミリアリアの心の広さにすごくびっくりしたんです。
あと、作中でも書いたミリアリアのオーブ侵攻前の台詞が大好きです。アスランを憎もうとはしないんですよね、彼女は。この子が真のヒロインなのでは!?と疑いたくなるほどの清さでした……。
ミリアリアは種キャラクターの中でもダントツにいい女の子だと思います。強くてやさしくてかわいい!そらディアッカも惚れるわ!
と、はじめてアスカガ以外のカップリングに挑戦しました。
何気にアスカガが出張ってるあたり、私がいかに欲望に忠実かわかりますね笑
ディアミリスキー様から見たら拙く見苦しいものかもしれませんが、ご容赦ください。書いてる側はすごく楽しかったです!愛もこめたつもりです!!←
余談ですが、「終わらない明日へ」には他にもおいしい描きおろしムービーがあったり。二人だけの戦争の手当てシーンとか、カガリがオーブ軍服に着替えるところとか、三隻同盟時にディアッカとアスランが二人で話すシーンとか。興味があればぜひ調べてみてください。
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