雑記やら拍手お返事やらSSやらを好き勝手に書いています。
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キラカガとアスランのお話。暗いです。
※死ネタです。カガリが冒頭から死んでいます。
※ハッピーエンドではありません。
C.Eが舞台ではありますが、微妙に原作軸とはちがう特殊設定です。パラレルワールドのような。
キラとカガリがある年齢まで双子としてコロニー・メンデルで生活していて、キラがスーパーコーディネイターとしてザフトにいたら……というもしもの話。
何があっても大丈夫!という方は続きからどうぞ。
※死ネタです。カガリが冒頭から死んでいます。
※ハッピーエンドではありません。
C.Eが舞台ではありますが、微妙に原作軸とはちがう特殊設定です。パラレルワールドのような。
キラとカガリがある年齢まで双子としてコロニー・メンデルで生活していて、キラがスーパーコーディネイターとしてザフトにいたら……というもしもの話。
何があっても大丈夫!という方は続きからどうぞ。
「ねえ、カガリ。ぼくのきょうだいとして生まれたこと、後悔してる?」
キラは抱きかかえた少女に語り掛ける。
答えはない。彼女はもう冷たくなってしまっていて、彼の言葉は届かないから。
カガリの体を大切そうに抱きしめながら泣く親友の姿を、アスランはすこし離れたところから見ていた。
「ぼくのせいで死んじゃったんだよね……」
光を失ったカガリの瞳のすこし下、頬のあたりにキラの涙がおちる。
見かねたアスランは、黙ってキラの前に膝をつく。少女に手を伸ばしたが、キラが触れさせまいとするようにカガリを強く抱き込んだ。
「……キラ。彼女を、眠らせてやろう」
痛々しい姿の友を前に、アスランは極力やさしい声を装ってそう言った。
キラがひっとしゃくりあげて、また大粒の涙をこぼす。そしてようやくカガリを抱き締める手を緩めた。
アスランはそっと手をのばして、開かれたままだったカガリの瞼を下ろしてやる。目を閉じた彼女の表情は、それまでの悲惨な姿の遺体とはうって変わって、不思議とおだやかなものに見えた。
それも当然なのかもしれない。彼女はやっと、生き別れた弟のもとに帰ってこられたのだから。
「カガリ……ッ」
キラもそう思ったのか、震える声でそう言って、顔をくしゃりとゆがめた。
「ずっと会いたくて……生きてると知ってたら、ぜったい、ぜったい迎えに行ったのに――ッ!」
キラがきつくカガリを抱き締める。それは、あまりに悲痛すぎる嘆きだった。
キラとアスランはずっと親友だった。
プラントで出会い、一緒にアカデミーに入って、二人並んで首席の成績を修め、戦場にも共に出た。
キラはよくアスランに双子の姉の話をした。とても大切な存在なのだと彼はいう。
『ふたりで育って、ずっと一緒だったんだ。ぼくらはふたりでひとりだって本気で信じてた』
姉の話をするとき、いつもキラは笑っていた。
それがすこし寂しそうなものだったのは、彼女がすでにこの世にいない人間だったから。
それでも幸せな記憶なのだと、彼は語った。
『ぼくらがまだ小さかったころ、生まれ育ったコロニーが〝ブルーコスモス〟に襲われて、両親はそのときに死んじゃったんだ。逃げてるときにぼくとカガリも離れ離れになっちゃって、それで――』
キラはコーディネイターのなかでも特殊な存在なのだと、秘密裏にアスランに打ち明けた。それゆえに〝ブルーコスモス〟に狙われたのだと。
姉のカガリは遺伝子操作を受けていないナチュラルだったけれども、一緒に〝ブルーコスモス〟に狙われてしまった。
『たぶん、敵はカガリをぼくと勘違いしたんだと思う。男の子みたいな恰好してたから。だから、カガリはぼくの身代わりになって殺されたんだ……』
そう話すキラの声は硬かった。いつも楽しそうに姉との思い出話をしていたキラだったが、彼の内にはずっと姉を犠牲にした罪悪感があったのだ。
そして彼はアスランに語った――自分がザフトに入ったのは、双子の姉の仇をうつためだと。カガリを殺した人間を許せないから、と――。
そのためにアカデミーに入り、学び、戦い、モビルスーツに乗った。
そんなキラと、母を喪ったことをきっかけに軍に志願したアスランが親友になったのは、必然だった。
アスランとキラは稀代の天才児と言われ、エリートパイロットになり、戦場を駆けた。
そんなキラに待ち受けていたのは――とても残酷な運命だった。
ナチュラルとコーディネイターの戦いが激化し、その戦場が宇宙に移ったとき、キラとアスランの部隊はある地球軍の部隊とぶつかった。
そのとき、敵の部隊に――死んだはずのキラの姉、カガリがいたのだ。
発覚したのは、彼女の機体を撃墜した後だった。
相手のパイロットの正体に気付いて攻撃をやめたときには遅く、カガリはすでに致命傷を負っていた。
カガリを連れて廃棄コロニーに降りたキラに、アスランも続いた。
『キラ……生きてたんだな……』
『どうして……どうしてカガリ……ッ!』
『わたし、ずっと憎かったんだ……わたしからキラを奪った世界が、わたしたちを生んだ世界が……だから、二度とわたしたちみたいなのが生まれないように、って』
それで軍人になったんだ――そう話すカガリの目からは、みるみるうちに生気が消えていった。
『キラ、愛して、……』
『カガリ、カガリ――ッ!』
そしてカガリは息を引き取った。彼女が誰より愛した弟の腕の中で。
キラがカガリを抱いたまま泣き続けて、どれくらい経っただろう。
彼女を看取るために降りた廃棄コロニーは、流れ弾が当たったのか、随所で爆発を起こし今にも崩壊しそうになっていた。
じきにアスランやキラのいる部屋も危なくなる。それでも、キラは動こうとしなかった。
きっと彼はここから脱出しようとはしないと――アスランは悲しくも確信していた。
彼は、誰より愛した自分の姉を、死なせてしまったのだ。
「――もし、つぎに生まれてくることがあったら」
キラは憔悴しきった様子で、小さな声で言った。カガリを抱きしめ、どこか遠くを見たまま、言葉を続ける。
「きょうだいじゃなくてもいいから、きみに幸せになってほしいな。……うそ。やっぱり、ぼくはカガリときょうだいがいい。それでアスランも一緒にいられたらいいのにね」
不意に話を振られて、アスランはキラを見る。
「俺がそこにいていいのか?」
「うん、アスランはぼくの親友だし。きっとカガリとも仲良くなれるよ。あ、でもカガリはぼく以上に危なっかしくて手がかかるけど」
「……それは大変そうだな。できれば遠慮したい」
「とか言いながら、絶対アスランもカガリのこと好きになると思う」
キラが力なく笑うのに、アスランも何とか口の端を持ち上げて笑む。
不思議とキラの言葉はすんなりアスランの中に入った。カガリと直接話したことはなく、出会ったそばから彼女を看取ることになってしまったが、キラの話を聞いていたときから、できることなら会ってみたかったと思っていたのだ。キラの女版――しかもさらに手のかかりそうな――と考えると、きっと自分は世話を焼かずにはいられないのだろう。
――そう、彼女と出会う未来が、どこかにあったのなら。ひょっとしたら、自分は今では想像もつかないような運命をたどっていたのかもしれない。
「ぼく、アスランにならカガリを任せてもいいかも」
「何でそうなる。彼女はナチュラルで、俺はコーディネイターだぞ」
「そんなのはどうだってなるよ。……うん、そうだね、みんなでオーブに住もうか。そうしたら一緒に暮らせるし」
数か月前に地球連合軍の攻撃を受けて滅んだ中立国の名前を聞いて、アスランは片眉を上げる。確かに、かの国は存続していたならばナチュラルとコーディネイターが共に暮らすこともできたかもしれない。
それは、『もしも』が積み重なった話。
「中立国に? ……仮に俺が彼女と一緒になるとして、おまえはどうするんだ?」
「そんなの、ぼくだってかわいい彼女を作るに決まってるよ」
とても呑気な会話だった。
ここが崩壊寸前のコロニーの中で、外ではひどい殺戮が行われていて、キラが姉の遺体を抱いているなんて、忘れてしまいそうなほどに。
ドン、とひと際大きな爆発音が近くでする。
限界を悟り、アスランは険しい顔で唇を引き結んだ。
「行って。アスラン」
「キラ、しかし……」
「ぼくはいいんだ。カガリを置いてはいけないから」
キラは泣きはらした目で、アスランに微笑んでみせる。
彼の声には、有無を言わせない響きがあった。
部屋の奥で炎が上がる。それはみるみるうちに広がって、キラとカガリのすぐ後ろにせまっていた。
「ぼくらの世界はこれで終わり。このあとは、アスランが見届けて」
キラが泣きながら笑うのを見て、アスランはぐっと唇を噛みしめ、踵を返した。
肩越しに振り返って、悲しい双子の姿を網膜に焼き付ける。
「キラ――もし生まれ変わっても、また会おう」
「うん」
『生まれ変わり』なんて非科学的な話を自分がするとは思っていなかったけ
れど、今だけはそれを信じたかった。
アスランは二度と振り返らず、廃棄コロニーを後にする。
最後に、抱き合ったまま炎に包まれていく双子を見て、世界の終わりをどこかで感じていた。
アスランの背を見送ったキラは、冷たいカガリの体をもう一度強く抱き締め、血まみれの金の髪に頬を寄せた。
「もしも生まれ変われるなら、今度こそ幸せになろう、カガリ? ぼくは何があってもきみを探し出して、今度こそ守るから。誰を敵にまわしたって、ずっとカガリの味方でいるから――」
カガリの髪に唇を落として、キラは自分たちを包む炎をじっと見つめた。
アスランの予感通り、その世界はじきに終わりを迎える。
地球軍が核を持ち出して複数のコロニーを破壊したのに対し、プラントは巨大兵器〝ジェネシス〟を地球に撃つことで報復した。
その結果、地球は滅ぼされ、宇宙に取り残された人類は、ゆるやかに滅亡への道を歩み始める。
親友を喪ったアスランは、色と未来を失くした世界をただ見届けた。
いつか、違う世界で――生まれ変わった先で、キラやカガリと幸せな時を歩めることを夢見て。
***
欝々とした話ですみません。
もしもキラとアスランが敵対していなかったら、カガリがウズミさまのもとに引き取られていなかったら、という「もしも」の話を積み重ね続けたら、こんな未来もあり得たんじゃないでしょうか。
アスカガ視点で考えると、二人が出会って惹かれあったことそのものが運命的で、本来ならあり得ない話だったんですよね。それこそいくつもの奇跡の上に起こったことで。
それらの奇跡がなかった世界は、きっと破滅の運命を辿っていたのでしょう。
本当は中編くらいの長さで書くつもりでいたのですが、技量不足により断念し、書きたいところだけを抜粋しました。
カガリ視点、キラ視点、アスラン視点と、プロットも書いていたのですが、同じ話を別の人視点で書き分けるということができませんでした。
供養がてら、ここにつらつらと考えていた設定を載せておきます。
この話において、キラはスーパーコーディネイターとして生まれた自分の身の上を理解したうえでザフトに所属し、カガリを殺した(とキラは思い込んでいる)ブルーコスモス、ひいてはナチュラルを殺すために軍人をしています。オーブで暮らしていないので、カガリ以外のナチュラルと接した経験もありません。メンデルの研究所で生まれ育ったキラにとって、身内はカガリだけでした。
一方カガリは、ブルーコスモスの襲撃の際にさらわれ、地球に降りました。遺伝子解析を受けてから、ナチュラルだと発覚した後は解放され、地球軍の監視付きのもと暮らすことになります。そして大きくなって自分たちの素性(キラが遺伝子操作を受けて生まれたこと)を知ってから、キラを利用しようとしている人間たち、つまりコーディネイターを憎むようになります。そして、自分たちの運命を狂わせたナチュラルも憎みます。彼女は地球軍に入り、コーディネイターからキラを取り戻す決心をします。ウズミさまに出会わなかった彼女は、ただ激情家の面だけが残り、平和を望むことはありませんでした。またカガリは、オーブ解放作戦の際に地球側で参戦し、ウズミ・ナラ・アスハの死を見届けています。ウズミは憎しみのままに戦うカガリを見て、「おまえが私の娘であれば……」と語りかける設定があったり。
アスランはそんなキラとカガリの運命を見届ける役目を持っています。キラとカガリを最後に看取り、滅びゆく世界を見届けました。カガリと出会わなかったことにより、ナチュラルを敵としてしか見ず、父の命令に何の疑いもなく従い続けた彼は、世界の崩壊へと手を貸すことになります。しかし、命令に疑問を持たずに生き抜いてきた彼は、そのことを後悔することはありません。そして、キラという親友のいない世界に、彼は未練はありません。
本来原作軸で起きた色んな奇跡が起きなかったのがこの話です。
バッドエンドをかきたいな~と思ってふと思いついたのですが、技量不足により書ききることができませんでした……。
この話では亡くなってしまった彼らですが、きっと生まれ変わったら原作軸の世界で生きて、色んな軌跡を体験していくことでしょう。
――という果てしなく自己満足の塊な話でした。
長々と読んでくださり、ありがとうございました!
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