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雑記やら拍手お返事やらSSやらを好き勝手に書いています。
2025/05
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お久しぶりです。
劇場版の発表に触発されて、SEEDに帰ってきてしまいました。
まさか今更発表されるとは思わず…。
色々言いたいことはあるけど我慢して、Twitterを見直してたらHPに移しそこねたSSがあったので載せておきます。
割とお気に入りだったので。
前のパソコンが壊れてしまったのでもうHPは触れませんが、消す予定もないので当分はこのまま残存すると思います。
更新しなくなって丸五年も経つのにいまだに訪問してくださる方々がいること、感謝しかありません。

最近はオリジナルに帰って活動してました。
小説はたまーーーに書くかな…という程度です。
アスカガ書いてた頃が一番文章力はありましたね……。
過去のブログを見直すと、先代猫を亡くしたところで止まっているのですが、今は別の子と一緒に暮らしています。
保護猫だったのですが、甘えん坊でとてもいい子です。

続きはTwitterのみに掲載していたSSです。
運命後で、カガリの目が一時的に見えなくなる話です。
続きからどうぞ。

拍手[18回]




 その日、カガリは光を失った。
 一時的な失明であると医師は言った。治療に専念すれば治る可能性も十分にあるのだという。原因はオーブの国家元首を狙ったテロだ。ナチュラルとコーディネイターの和平の要であるカガリ・ユラ・アスハの命を狙うものは、戦後二年が経った今でも多い。 
 目の見えなくなったカガリの護衛を命じられたとき、アスランは迷わず承諾した。目以外に大きな負傷はないものの、未だにカガリを狙う脅威は消えておらず腕利きの護衛が必要であったことと、侍女以外に彼女の身の回りの世話のできる者となれば、該当するのが他にいないのだと、キサカ一佐は苦々しい表情で言った。
「まさかまたおまえと一緒に暮らすことになるなんてな」
 アスハ邸に訪れた俺を出迎えたのは、顔の半分を包帯で覆ったカガリだった。マーナさんに腕を引かれ慣れない仕草で歩く様と、目元以外にも細かな傷を無数に作った姿は、映像越しに見るよりもずっと痛々しいものだった。
「何年経っても、おまえには世話をかける」
「気にするな。いまさら遠慮なんてする間柄じゃないだろう」
「そうだな。正直、おまえがいてくれると心強いよ」
 マーナさんに変わって握ったカガリの手は、戦前と何も変わっていなかった。交わす言葉も、まるで十代のころに戻ったかのような錯覚を受ける。
 目の見えないカガリの前に立つ俺は、国防軍准将でも大戦の英雄でもない、ただのアスラン・ザラだった。
 二度の大戦のあと、俺たちは別離した。カガリは世界を守るために、俺は彼女と国を守るために、それぞれの居場所で戦うことを決めたのだ。以前とは違い、俺たちのあいだには明確な一線が引かれていた。きっとそれは世界が平和にならない限りは無くならないものなのだろうと漠然と感じていた。それをこんなことで超えることになるなんて、思いもよらなかった。
 ――その線が見えなくなってはじめて、俺はカガリの隣に立てた。皮肉なことに――争いを無くすために別離した俺たちは、ふたたび争いによって引き合わされたのだ。
 争いが起きたとなれば、俺は迷わずカガリのそばに行く。何があっても彼女を守る。そしてカガリもそれを受け入れるのだろう。
 結局俺たちは――俺は、戦いのある世界でしか共に生きられないんだ。血なまぐさい世界でしか生きる理由を見出せない、ただの戦士に過ぎない。
「……う」
 うめくような声に我に返る。鼻につんと潮の香りが届いて、アスハ邸の海際のテラスにいたことを思い出した。
 隣ではカガリがデッキチェアに深く腰掛けたまま眠っている。俺がキサカ一佐と今後のカガリの予定について話し合っている間、海辺に行きたいとマーナさんに頼んだのだという。
『見えなくても波の音と潮の香りは変わらないんだなと笑っていらっしゃいました』
 俺との交代時にそう言って、マーナさんは涙ぐんでいた。
 マーナさんの気持ちも理解できる。大怪我をして療養中でもなければ、きっとカガリはゆっくり海に行くこともできないのだろう。メディア越しに見ているだけでも、カガリが身を削るようにして政務に勤んでおり、ひと時も気の緩む時間がないのだろうということは容易に想像ができた。今カガリが昏々と眠りについているのは、怪我による体力の消耗だけが原因ではないはずだ。
 いつの間にか日が傾いていて、オーブの海の上には黄昏色が広がっている。これ以上寝ていると風邪をひくかもしれないなと思ったとき、カガリが身じろぎをした。
「……アスラン? そこにいるのか」
「なんでわかったんだ?」
「なんとなく、かな」
 包帯から覗く口元がうすく笑う。今のカガリには何も見えていない。軍人でも何でもない彼女は、人の気配にだってそう鋭くないはずなのに、何故かまっすぐに俺のほうを向いていた。
「ふしぎだな……見えなくても、おまえがそばにいるとわかるんだ。すごく安心するから」
 そう言って彼女は、手探りで隣に立っている俺の軍服の袖を掴む。
「アスラン、どうした?」
「……なんでもないよ」
 俺の声は、裏返っていなかっただろうか。見えないカガリに不審に聞こえていなかっただろうか。そうであったことを祈るしかない。
 今、俺はどんな顔をしているのだろう。
 初めて俺は、今のカガリの目が見えないことに感謝した。
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プロフィール
管理人:柳瀬
居住地:関西
最近カラオケで種のPVを見たことをきっかけに10年ぶりにうっかりアスカガが再燃した出戻り野郎。

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