雑記やら拍手お返事やらSSやらを好き勝手に書いています。
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種~運命間?のキラカガです。
アスカガ前提ですがアスランは出てきません。
珍しくTwitterの再掲ではありません。暗くないキラカガってのも久しぶり?明るくもないですが。
半年以上前に書きあがってたんですが、校正がうまくいかなくてずっと放置してたのを引っ張り出してきました。ポメラのデータの中にはそういうのが多いんです……。
拍手お返事はまた別で書かせて頂きますね。
続きからどうぞ。
アスカガ前提ですがアスランは出てきません。
珍しくTwitterの再掲ではありません。暗くないキラカガってのも久しぶり?明るくもないですが。
半年以上前に書きあがってたんですが、校正がうまくいかなくてずっと放置してたのを引っ張り出してきました。ポメラのデータの中にはそういうのが多いんです……。
拍手お返事はまた別で書かせて頂きますね。
続きからどうぞ。
それはまだ窓の外が暗く月の光が照るころ。
ノックもなく部屋のドアが開けられる気配に、キラは目を覚ました。中途半端に開いたドアから暗闇でも認識できる明るい色の髪が覗く。
「カガリ?」
「キラ」
寝間着姿のカガリがそこにいた。キラはきょとんとした表情でベッドの上に身を起こす。
カガリは無言で近づいてきたかと思えば、突然キラの首に抱きついた。
「わあっ」
身構えていなかったキラは背中からベッドに倒れこむ。やわらかい枕に頭が沈み込むのを感じながら、ベッドヘッドにぶつからなくて良かった、と心の底から思った。
「どうしたのカガリ、眠れないの?」
自分の上に乗って顔を伏せたカガリの頭を撫でて聞く。カガリがキラに抱きついてきたのは久しぶりだ。前はたびたびあったそれも、戦争が終わりに近付くにつれて減っていった。──正確にはアスランがやってきてからだ。彼がカガリのそばにいるようになったので、彼女がこうしてキラのもとに来る回数は減ったはずだった。
今日とて別室にはアスランが寝ているはずだ。それなのに彼女はここに来た。
「夢を見たんだ」
カガリはキラの胸に顔を埋めたまま話す。
「夢?」
「うん。キラがいない夢」
「ぼくがいないの?」
「いないというか……私たちが出会わなかった夢、みたいな。お父様もアサギもジュリもマユラもいたんだけど、おまえがいなかった」
それは今より幸せな世界ではないのかとキラは思ったが、カガリはそう思ってはいないらしい。
もしもカガリと出会わなかったら、とキラも想像する。カガリと出会ったのはヘリオポリスだ。ザフトが潜入してきたとき、彼女が避難の列から飛び出さなければキラも飛び出すことはなかった。そしてマリューに出会うことがなく、アスランと再会せず──モビルスーツに乗ることもなかった。
その世界ではキラは戦争に介入することなくオーブの一般人として過ごしていただろう。それはとても幸福なことのように思える。キラは戦わなくて良かった。モビルスーツに乗る必要などなく、己の出自を知らず、友達や好きな少女を亡くさずに済んだ。
しかし、その世界では間違いなくアークエンジェルは沈んでいた。マリューは死んでいただろうし、カガリやラクスとは出会うことがなかった。戦争中なのだから、ザフト軍人であるアスランとオーブの一般市民であるキラがふたたび会えるようになるのに数年は要するだろう。
そこでキラはカガリの葛藤を理解した。
なるほど──確かにそれは、手放しで幸せというには難しい。
「どっちが幸せなのかとか、わからないけど。キラがいないのはいやだな」
カガリが拗ねたような口調で言う。
きっとあのときのヘリオポリス以外ではカガリと出会うことはなかった。もともとキラとカガリの間にはただの一般人と国の姫という身分の差がある。それにおそらくウズミは自分たちを引き離そうとしただろう。十六年間ずっとそうしてきたように、ふたりが双子であるという事実を隠して。
だから、キラとカガリがただの一般人同士として出会えたのはほとんど奇跡に等しいことだ。
それが幸せなことなのか不幸せなことなのか──その答えはやはりわからない。それでも──。
「ぼくも……カガリと会えないのは嫌だな」
それだけは真実だとキラは確信していた。
生まれたときに引き離された。
本当は、唯一のきょうだいとしてずっと一緒にいられるはずだった。
けれども自分勝手な大人たちはそれを許さず、運命は彼らを遠ざけた。
片割れの存在を知らなければ寂しいと思うこともなかっただろう。しかし、血の繋がるきょうだいがいるという安心感を、心地よさを、相手を大事に思う気持ちを──今は知ってしまった。
「だいじょうぶ、カガリ。ぼくはここにいるよ」
「うん」
自分の上に乗るカガリを抱き締めて宥めるように髪をすく。友達でも恋人でもない彼女との時間は、他の誰かと一緒にいるときとはまた違う安心感を彼に与える。
自身が人工子宮から生まれたのだと知ったときのどうしようもない孤独を埋めたのは、ただひとつきりの片割れの存在だ。
「ぼくがいるし、アスランもいる。ね?」
言いながら、体の上のカガリを横へと促すと、カガリは素直に従ってキラの隣に移動した。細いからだに両手を伸ばして引き寄せると、まるでそれが本来あるべき形なのだと錯覚するほどにしっくりと腕におさまる。
「なんか、すごく落ち着くな」
「だってぼくらはきょうだいだから」
あやすようにカガリの頭を撫でると、彼女が大きく息を吐いた。琥珀色の瞳からは先ほどまでの不安の色は消え、うとうととまどろみはじめている。
幼子を寝かしつけるように頭を撫で続けると、カガリの体温が上がっていく。その心地よさにキラもいつしか眠気を覚えていた。
「でも、今夜カガリがここに来たのはアスランには内緒ね。アスラン、拗ねちゃうだろうから」
瞼を閉じたカガリに言いながら、キラも眠りの縁へ落ちていった。
翌朝、部屋にいないカガリを探しに来たアスランが、互いに抱きしめあって眠るキラとカガリの姿を見て絶句するのは、また別の話。
***
キラにすぐ飛びつくカガリが好きです。
キラは戦争に巻き込まれなければ原作よりもずっと平穏に生きて行けたかもしれないけど、きっとその道を選ばないんだろうなぁ…。
タイトルの英文は、直訳すると「私たちはみんな独りだ」なんですけど、高校のときの先生が「二人ぼっち」って訳していて印象深く覚えていたものです。
二人ぼっちって、まさにキラカガだなぁと思いまして。
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