雑記やら拍手お返事やらSSやらを好き勝手に書いています。
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ふだんならUPするかどうか悩むような話も、ブログだったら許されるかな…
せっかく時間があるので一日一アスカガを頑張りたい……!
いつもながら駄文ですみません。
趣味に走ったらこんなんばっかになりそうです。
※暗い話です。キラもアスランも病んでるので注意。
黒アスランも黒キラも大好物!と言う方は続きからどうぞ。
せっかく時間があるので一日一アスカガを頑張りたい……!
いつもながら駄文ですみません。
趣味に走ったらこんなんばっかになりそうです。
※暗い話です。キラもアスランも病んでるので注意。
黒アスランも黒キラも大好物!と言う方は続きからどうぞ。
「俺はだめかもしれない」
〝アークエンジェル〟の展望デッキで、アスランが頭を抱えながらそう言った。
ぼくはそれを黙って聞いている。
「――憎いんだ、敵が」
アスランが喉から絞り出すような声を出す。とても苦しそうだった。
「敵って?」
ぼくは思わず聞いてしまった。
『敵』という言葉を彼が使うのは、とても珍しいから。アスランはずっとその言葉に敏感になっていたような気がする。
「大西洋連邦と……ひょっとしたら、ザフトも」
祖国までもが憎い、と彼は言った。
彼が一度オーブを抜けてまで守ろうとしたものを、こうまで憎ませたのは。
「カガリを殺そうとするものすべてが、憎い」
ダーダネルスやクレタで、時にはオロファトで。
連合もザフトも、みんなカガリを殺そうとした。カガリを守ろうとしたのは、〝アークエンジェル〟とオーブ――セイラン家を除く――くらいだ。
アスランは、それが許せないのだろう。何よりも大事な彼女に銃を向けるものたちを。
「――全部滅ぼしてやろうかと思った」
怒りからか、アスランの手が震える。
言いながらも、アスランは知っているのだ。それが間違っていることを。カガリがそれを望まないことを。
そして――その気になれば、実現できてしまうほどの力が、自分にはあることを。
ぼくは彼を哀れに思った。
アスランは真面目で、正義感が強いから、そんな自分が許せないんだ。
実は激情家で、つい感情で動いてしまうときがあるくせに、理屈屋で強靭な理性を持っている。彼はいつも理性と本音の間で揺らいでいる。
でも、ぼくは――。
「ねえ、アスラン」
ぼくが呼ぶと、アスランは黙って顔を上げた。眉間にしわを寄せて、苦しそうな表情をして。
「ぼくが戦闘に介入すると、戦いが変わっちゃうんだよ」
突然なにを、とアスランの目が聞いてくるから、ぼくは笑顔を返した。
ずっとそうだった。ダーダネルスでもクレタでもオーブでも。その前の戦争でだって。ぼくが戦いに参加するだけで、どんな戦局でも変わってしまう。
そしてそれは、アスランだって同じだ。だってぼくらには力があるから。
「――ぼくらで全部、壊しちゃおうか」
まるで明日の天気の話をするかのように、それはぼくの口からこぼれた。
「キラ」
アスランの声に非難の響きが混じる。
でもね、知ってるよ、アスラン。きみだってそう望んでるんだって。
もしも――もしもカガリが本当に殺されたりなんかしたら、きみは理性を捨てて、すべてを破壊するんだろう。ぼくと一緒に。
今はまだ、ぎりぎり理性が勝っているだけの話。
「ぼくとアスラン――〝フリーダム〟と〝ジャスティス〟なら、たぶんできるよ」
ぼくらは親友だから、よく似てる。
アスランとぼくは同じことを考えている。
ただ、ぼくは――ぼくは世界を壊すことを考えるのに、罪悪感なんて持たないけど。
だって、ぼくはたくさん世界に奪われた。友達も。守りたかったひとも。両親も。――ふつうの人生も。
生まれたときから、奪われていた。
全部破壊したら、世界は平和になるのかな。
わからないけれど、こんなひどい世界は嫌だった。
「なんでみんな……ラクスやカガリを殺そうとするんだろう。こんな世界、ぼくは嫌いだ」
ラクスもカガリも、一生懸命やっているだけなのに。
平和を望んで生きているだけなのに。
世界は残酷で、ぼくたちにひどくて、彼女たちを殺そうとする。
ぼくとアスランから、大切な人を奪おうとする。
「でも、そうしたら――カガリが泣く」
アスランが呻くような声を出す。
カガリが泣くのは、アスランがもっとも望まないことだ。カガリが大切で大切で仕方がないから。
それはぼくも同じ。きっとぼくたちが世界を壊したりなんかしたら、敵を全部殺したりなんかしたら、ラクスだって泣くだろう。そしてもうぼくらを許してくれないかもしれない。
それは嫌だ。
ぼくもアスランも、何も理由なく世界を壊したいなんて思ったりしない。
ただ、カガリとラクスを守りたいだけ。ふたりに笑っていてほしいだけ。
それだけなのに――世界は許してくれないんだ。
「たとえば、連合を全部潰せば終わりだったなら、良かったんだ」
アスランが両手をじっと見つめながら言う。
「それでカガリが笑ってくれるなら、俺は喜んで敵を殺すよ。一刻も早く。迅速に」
そうだね、きみならそうすると思う。
『英雄』と呼ばれたアスランなら、そんなこと簡単だ。きっと本気のアスランにモビルスーツで勝てる人なんていない。最高のコーディネイターであるぼくだって負けたんだから。
「相手がザフトでも、俺はかまわない」
アスランは前の大戦でプラントを捨てた。プラントに裏切られて、手元に残ったのはカガリとカガリに対する愛情だけだった。アスランはそれにすがるしかなかった。
「俺にできることで、カガリが笑ってくれるならなんだってする」
アスランにとっての『世界』はカガリだ。
ぼくにとってのそれがラクスとカガリであるのと同様に。
「どうして……うまくいかないんだろうな」
アスランが悔しそうに拳を握りしめて、吐き捨てる。
たとえば。
たとえばの話。
ぼくとアスランで、ラクスとカガリをどこかにさらってしまえたら。
そして四人だけで平穏に暮らせたら、それだけでぼくらはもう何も望まないのに。
やはり、彼女たちはそれを許してはくれないのだろう。
だから。
「アスラン、議長を倒そう」
ぼくたちはもうすぐザフトとの戦闘に入る。
デュランダル議長が、やっぱり、ラクスとカガリを殺そうとするから。
正直デスティニープランなんてどうでもいいし、こんな世界がどうなろうと知らない。
でも、ラクスとカガリを殺させるわけにはいかない。
だからぼくとアスランは、力を使って敵を倒す。必死に理性で自分を押さえながら、敵をなるべく殺さないようにしながら。
ああ――ラクスさえ「はい」と言ってくれれば、ぼくは敵をすべて一掃するのに。
やさしいきみはそうしてはくれない。
「それからぼくらで、ラクスとカガリを守ろう」
今までそうしてきたように。
そうすることでしか、ぼくらは生きていけないから。
「――ああ」
アスランが答える。殺意を湛えた目をして、拳をぎゅっと握りしめて、窓の外を見る。
そこには青い星があった。残酷なぼくらの世界があった。
ねえ、ぼくの大嫌いな世界。
お願いだから、ふたりを奪わないで。
ぼくたちが世界を壊してしまわないように。
――それはぼくらの世界の失くし方。
サイトに上げている「君の世界の壊し方」のキラバージョン的な……?
「君の世界の壊し方」はアスラン→カガリの話ですが、これはキラから見たアスランの話になります。つながってはいません。
こう、たまには病んでるアスランとキラを書きたかったんです……
校正もそこそこにもったいない精神で上げてしまいました。
ふたりとも、自分の世界の全てと言っていい存在である愛する人を何度も殺されかかっているので、こんな風に自暴自棄な考え方になってもおかしくはないはず。
アスランはやはりパトリック・ザラの息子として似たような狂気を持っていると思います。
そして、それを自覚しつつカガリに依存しつつ、自己嫌悪しながら必死に狂気を理性で抑えているイメージ。それらをすべて理解できるのはキラくらい。
キラが狂うとしたら、彼にとって大事なもの(ラクスとカガリ)以外はすっぱり切り捨ててしまうんじゃないかなあ、と。
ほかにもカガリ→アスランの話が浮かんでるので、いつか書けたらいいな。
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